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高断熱の注文住宅で失敗しない工務店選び|確認すべき8つの質問と契約前のチェック

2025年4月から、新築住宅には省エネ基準への適合が義務づけられました。 断熱等性能等級で言えば4以上です。義務化にあわせて「高断熱」を掲げる会社は一気に増えましたが、掲げ方は各社まったく違います。 等級4をぎりぎり満たしているだけの会社と、等級6を標準にしている会社が、同じ「高断熱住宅」という言葉を使っています。


比べる側にとって厄介なのはここです。 カタログの見た目や坪単価では性能差が見えません。 そのうえ、施主側も数値の意味を知らないまま契約に進みやすい。 注文住宅を建てた150人に聞いたNEXERと福岡工務店の共同調査では、「断熱等級・UA値という言葉自体を知らない」が48.7%で最も多く、C値を知らない人は6割を超えました。<1> 数千万円の買い物としては、かなり心もとない状態です。


この記事では、断熱性能をどこまで求めるべきかという水準の話から、会社に投げるべき具体的な質問、契約書への落とし込み方、着工後に自分で確認できるポイントまでを順に整理します。



■ この記事の要点


・2025年4月以降の新築は断熱等級4以上が必須。ただし等級4は「最低ライン」で、快適さや光熱費を重視するなら等級5(ZEH水準)以上、できれば等級6を目安にしたい。

・UA値は設計計算で出る数値、C値は完成した建物を実測して出る数値。性能を語るうえで意味が違うので、混ぜて考えないほうがよい。

・会社選びで効くのは「性能値を即答できるか」と「その根拠を説明できるか」。数値を言えない会社は、設計の裏づけを持っていない可能性が高い。

・着工後に自分で見るべき場面は限られている。基礎断熱、サッシ周りの防水・気密、そして石膏ボードを貼る前。この3回を押さえるだけで確認精度は大きく上がる。



■ 1. まず「どの水準を目指すか」を決める


断熱性能はUA値(外皮平均熱貫流率)で表します。 屋根・壁・窓などから熱がどれだけ逃げやすいかを示す数値で、小さいほど断熱性が高い。 同じUA値でも寒冷地と温暖地で評価は変わるため、全国を8つに分けた地域区分ごとに等級の基準値が定められています。


九州が含まれる5〜7地域の場合、目安は次のとおりです。


・断熱等級4           UA値0.87以下 / 2025年4月からの義務ライン

・断熱等級5(ZEH水準)      UA値0.60以下 / 2030年に義務化が予定されている水準

・断熱等級6(HEAT20 G2相当)   UA値0.46以下 / 高性能をうたう会社が目標に置く水準

・断熱等級7(HEAT20 G3相当)   UA値0.26以下 / 寒冷地や性能を突き詰める場合


HEAT20は、地域ごとの室温目標から逆算して断熱水準を示した民間団体の基準で、G1・G2・G3の3段階があります。 等級とHEAT20は成り立ちが違う別の基準ですが、5〜7地域ではG2が等級6と同じUA値0.46に並ぶため、実務では「G2=等級6」と説明されることが多いです。


補助金を考えるなら等級4では足りません。 国の住宅取得支援は等級5以上、制度によっては等級6以上を条件にしているものがあり、応募する制度の要件を先に確認しておくと予算の組み方が変わります。



■ 2. 大手ハウスメーカーと地域の工務店、判断の分かれ目


「どちらが高断熱に強いか」という比較はあまり実りがありません。 会社の規模ではなく、性能をどう管理しているかで決まるからです。ただ、傾向としての違いはあります。


【性能の安定性】

 大手ハウスメーカー:工場加工と標準化により、どの現場でもばらつきが小さい

 地域の工務店:会社ごとの差が大きい。設計・施工体制の確認が前提になる


【設計の自由度】

 大手ハウスメーカー:商品グレードの範囲内で選ぶ形が中心

 地域の工務店:間取りや造作の融通が利きやすい


【価格の傾向】

 大手ハウスメーカー:広告費・展示場運営費が価格に含まれる

 地域の工務店:建築費を抑えられるケースが多いとされる<2>


【引き渡し後】

 大手ハウスメーカー:長期保証・全国のサポート網

 地域の工務店:距離が近く、点検や小さな補修の対応が早い


【注意点】

 大手ハウスメーカー:上位の断熱グレードがオプション扱いのことがある

 地域の工務店:施工品質が現場の技量に左右されやすい


同じ調査で、建築会社を決めた理由の1位は「担当者の対応が良かった」で39.5%でした。 性能を数値で管理できていることが前提としてあり、そのうえで話が通じる相手かどうかが最後の決め手になっている、という結果です。



■ 3. 断熱に強い会社を見抜く8つの質問


初回の打ち合わせで投げておくと、その会社の設計体力がだいたい見えます。 答えの内容だけでなく、即答できるかどうかも見てください。


1. 施工エリアはどこまでですか

  エリアを絞っている会社ほど、その土地の気候や地盤を前提に設計している。引き渡し後の点検対応の速さにも直結します。


2. 設計から施工、メンテナンスまで自社で見ていますか

  どこを外部に出しているのかを聞く。設計意図が現場に伝わる経路が短いほど、仕上がりのぶれが小さくなります。


3. 過去の断熱施工の写真を見せてもらえますか

  完成写真ではなく、施工中の写真です。断熱材の充填状態やテープ処理が写っているかどうかで、記録を取る習慣があるかが分かります。


4. この土地でUA値はどのくらいになりますか

  地域区分と目標等級をふまえた数字が返ってくるかを見る。「計算してみないと分からない」は正しい答えですが、その場合は「おおよそどの等級を標準にしているか」を続けて聞いてください。


5. 気密測定はしていますか

  実施している場合は、全棟か希望者のみか、直近の実測値の範囲はどのくらいかまで聞く。していない会社を切る必要はありませんが、気密をどう担保しているかの説明は求めるべきです。


6. その断熱材を選んでいる理由は何ですか

  熱伝導率や透湿抵抗、施工性、コストのどこを重視した結果なのか。商品名だけで理由が出てこない場合は、仕様を検討した形跡が薄いと考えられます。


7. 見積もりの断熱工事の内訳を出せますか

  「断熱工事一式」でまとめられていると、後から仕様を上げ下げしたときの金額が追えません。


8. 住宅完成保証制度に加入していますか

  施工会社が工事中に倒産した場合に備える制度です。未加入の場合、代わりにどんな備えがあるかを確認します。



■ 4. 数値を仕様書と契約に残す


打ち合わせで交わした「暖かい家にしましょう」は、契約書には残りません。 性能を後から確認できる形にしておくには、書面に落とす作業が必要です。


1. 仕様書にUA値を書き込んでもらう

  目標等級とUA値を明記します。設計変更で窓を増やすと数値は動くので、変更時に再計算した数値をもらう約束もしておきます。


2. 第三者評価を通す

  住宅性能表示制度やBELSの評価書を取得すれば、設計内容が外部機関の審査を経た記録として残ります。費用はかかりますが、売却時の資料にもなります。


3. 気密測定を実施する場合の扱いを決めておく

  測定を行うなら、いつ実施するか、費用の負担、結果の共有方法まで先に決めておく。目標値を下回った場合の対応も、この段階で話しておくほうが揉めません。


4. 引き渡し時に受け取る書類を確認する

  外皮計算書、性能評価書、気密測定の報告書。何が渡されるのかを事前にリスト化しておくと、抜けに気づけます。


なお、C値を契約上の保証値として扱う会社は多くありません。 気密は施工精度に左右され、天候や工程でも変わるため、数値そのものを保証するかたちにはしにくい事情があります。 無理に約束を取りに行くよりも、測定して結果を共有する運用にしてもらうほうが現実的です。



■ 5. 事例:長崎県諫早市のスマイフルホーム


ここまでの確認項目を、実際の会社に当てはめるとどう見えるか。 長崎県諫早市のスマイフルホームを例に整理します。 諫早市・大村市・雲仙市・島原市が施工エリアで、点検や補修にすぐ動けるよう施工範囲を事務所から50分以内に設定していると公表しています。<3> 地域を絞る理由が「かかりつけ工務店になること」に置かれている点は、質問1・2で確認したい体制がそのまま説明されている形です。


性能面は数値で公開されています。 同社の性能ページ<2>では、HEAT20のG1またはG2レベルを達成しており、将来的にG3を目標としていると明記。UA値は0.56〜0.46に相当し、断熱等級では5または6にあたります。 仕様としてはトリプル窓と樹脂サッシ、遮熱と断熱の組み合わせ、床下換気システムを挙げています。 省エネ性ではBELSで、2023年8月時点で建てた76棟すべてが5つ星を取得し、引き渡し時に評価書を渡すとしています。 耐震等級3相当を基本とし、防蟻処理は基礎の土壌散布・棟上げ前の土台・棟上げ後の柱下部と3回に分けて実施。 第三者評価の書類が引き渡し時に手元に残る形は、前章4で挙げた確認方法をそのまま満たしています。


設計は、Olive・Holidays・Clover・TreeHouseという4つのラインナップを起点に、外観から間取り、壁紙まで選んでいく進め方です。 造作家具やヘリンボーン張りのような大工の手仕事を得意としており、施工事例は「家づくりレポート」、住んでからの声は「スマイフルホームに住んでみて」として継続的に公開されています。 実際に建った家と、そこで暮らす人の話が両方見られるので、モデルハウスだけでは分からない部分を事前に確認しやすいのが強みです。


一方で、気密性能については仕様として言及があるものの、C値の実測値や気密測定の実施方針はサイト上に記載がありません。 ここは質問5にあたる部分なので、打ち合わせで直接聞くべき項目になります。



■ 6. 着工後に自分で確認する3つの場面


契約が終わってからも、施主にできることは残っています。 断熱と気密の不具合は、仕上げが始まると見えなくなる場所で起きるからです。現場に入る前に監督へ連絡し、日程を合わせてもらってください。


基礎工事の完了時。基礎の立ち上がり部分に断熱材が隙間なく入っているか、断熱材のつなぎ目がテープで処理されているかを見ます。 ここに欠けがあると、床下からの冷えが上がってきます。写真はつなぎ目に寄って撮っておくと、後から比較しやすくなります。


サッシの取り付け後。気密が破れやすいのは窓の四方です。 防水テープが下枠から先に貼られ、両側面、上部の順に重なっているか。サッシ下端の水切り処理も一緒に確認します。順番が逆だと、水が入り込む経路ができます。


石膏ボードを貼る直前。ここが最後の機会です。断熱材が潰れずに均一に入っているか、コンセントボックスや配管の貫通部に気密処理がされているか。予定を空けておく価値がある一日です。



■ まとめ


高断熱の家を建てるうえで難しいのは、技術ではなく判断材料の集め方です。 目指す等級を決め、会社に数値を聞き、答えを書面に残し、工事中に自分の目で確かめる。この4段階を踏めば、性能で外すことはほとんどなくなります。


そして最後に残るのは、その4段階に付き合ってくれる相手かどうかという点です。 UA値を聞かれて面倒がる会社ではなく、聞かれる前から数値を出している会社を探すほうが、結果的に話は早く進みます。



■ よくある質問


Q. UA値とC値は何が違うのですか

A. UA値は家全体の断熱性能(外皮平均熱貫流率)を示す数値で、図面から計算して求めます。C値は隙間相当面積といい、建物にどれだけ隙間があるかを表す気密性能の数値で、完成に近づいた建物を実際に測定して求めます。設計段階で分かるのがUA値、建ててから分かるのがC値、という違いです。なお、かつて使われていたQ値(熱損失係数)は、床面積の影響を受けるため現在はUA値に置き換わっています。


Q. 断熱等級6は必要ですか。等級5では足りませんか

A. 等級5でも省エネ基準は十分に上回っており、2030年に義務化が予定されている水準です。等級6にすると室内の温度差がさらに小さくなり、暖冷房費も下がりますが、窓の仕様や断熱材の厚みが増えるため建築費は上がります。補助金の要件と、住み始めてからの光熱費の差を並べて比べたうえで判断するのが現実的です。


Q. HEAT20のG2、G3はUA値でいくつですか

A. 九州を含む5〜7地域では、G2がUA値0.46以下、G3が0.26以下です。それぞれ断熱等級6、等級7と同じ基準値に並びます。ただしHEAT20は地域ごとの室温目標から設定された基準なので、地域区分が変われば数値も変わります。


Q. 建築中の現場確認は、いつ行くのが効果的ですか

A. 基礎工事の完了時、サッシの取り付け後、石膏ボードを貼る直前の3回です。特に最後の1回は、断熱材の充填状態と気密処理を目で見られる最後の機会になります。日程は現場監督に事前に確認し、写真か動画で記録を残してください。


Q. 建築費を抑えながら断熱性能を上げる方法はありますか

A. 建物の形をシンプルにするのが最も効きます。凹凸の少ない総二階にすれば外皮の面積が減り、同じ断熱仕様でもUA値が良くなります。窓は、数を減らすのではなく配置を絞って大きさを最適化するほうが効果的です。トリプルガラスを全窓に入れる代わりに、方位ごとに仕様を変えたり、南面に外付けブラインドやアウターシェードを併用したりする方法も、総額では有利になることがあります。



■ 出典


1. 【注文住宅】家を建てる前に住宅性能を約45%が「まったく知らなかった」と回答

 (株式会社NEXERと高気密高断熱の注文住宅「福岡工務店」による調査/2026年)

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002846.000044800.html


2. 大切な「お家の性能」のハナシ|スマイフルホーム

 https://www.smifulhome.jp/heat20


3. スマイフルホームが選ばれる5つの理由

 https://www.smifulhome.jp/5reasons


4. 失敗しない工務店の選び方のポイント8つ|スーモカウンター注文住宅

 https://www.suumocounter.jp/chumon/report/jitsurei/entry/2019/01/15/000000


5. 工務店とハウスメーカーの違いは?メリット・デメリットや選び方を解説

 https://www.nihonhouse-hd.co.jp/column/construction/



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